農業応援隊!晴れびとHarebito
JA晴れの国岡山真庭統括本部
蒜山大根部会協議会
[就農38年目]
JA晴れの国岡山真庭統括本部
蒜山大根部会協議会
[就農38年目]
井藤 文仁 さん(61)
歴史をつなぎ、季節を映す「ひるぜん大根」
春から初冬にかけて広大な黒ボコの地に広がる大根畑は、蒜山地域で馴染みの、なくてはならない光景です。
日本軍の演習地だった当地で、戦後、入植者が開拓して大根を作り始めました。「クボタさん」という名字だけが、まるで伝説のように語り継がれています。その人の大根の出来は素晴らしく、ほかの入植者もこぞって作り始めたのが、「ひるぜん大根」の始まりです。
その後、地元民も加わり、蒜山は大根の一大産地となりました。当時の生産者は約200戸。東は名古屋から西は九州まで、何台もトラックを連ね、市場へ出荷していたといいます。
最盛期から数十年。高齢化や連作障害により、生産者は年々減り、現在JAへ出荷している生産者は12 戸、面積は19㌶に。しかし、これまで培ってきた栽培技術、恵み豊かな自然と、そして生産者の力で、未だそのおいしさと名前は広く知られる存在です。出荷の始まりは季節の風物詩として、毎年メディアに取り上げられ、多くのファンがその味を心待ちにしています。
蒜山大根部会協議会の部会長を務める井藤文仁さん(61)は、子どものころから手伝いとして大根づくりに携わり、その後24歳で本格的に就農。妻の公子さん(62)とともに、2.5㌶で作っています。
暗い明け方から収穫が始まる。
歴史をつなぐ「ひるぜん大根」に付加価値をつけて販売しようと、2002年から栽培をスタートしたのが「蒜山こだわり大根」。しっかり土作りをした「寒締め栽培」で、甘さとみずみずしさ、際立つおいしさに特化した大根として売り出しました。
生で食べても、煮炊きにしても絶品の「蒜山こだわり大根」。専用の袋での販売や、地道な消費宣伝の甲斐もあり、今では蒜山に初冬の訪れを告げる農産物として、定着しつつあります。今年も11月1日頃から販売を予定しています。
「蒜山の伝統として残していきたい。生産者が減っている中で、伝統野菜や『幻の大根』と言われるまで作っていきたい。やっぱり大根づくりが好きなんでしょうね」と話す井藤会長。
守っていくべき地域の財産として「ひるぜん大根」を作り続けていきます。
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