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地域と自然とともに/トマトで晴れて就農/新見にⅠターン・原さん/JA晴れの国岡山・阿新トマト部会
JA晴れの国岡山・阿新トマト部会の新規就農者として、今年から栽培をスタートさせた原健二さん(49)。春先に季節外れの積雪という自然の猛威に直面し、作業が予定より大幅に遅れたものの、部会の人的支援を受けて2500本の定植にこぎつけました。「立派なトマトを出荷して一人前になることで恩返ししたい」。7月下旬の初出荷を目指し、生長を感じながら入念に肥培管理に励みます。
初出荷に向けて胸を踊らせます。
出身は横浜市で、サラリーマン一家で育ちました。将来は脱サラによる人生設計を描き、職種を模索。農業を生業にするという発想はなく、たまたま東京での就農セミナーに巡り合いました。「地方へ移住して農業を始めるという生き方があるんだ」と気づき、岡山県での体験見学に参加。トマトが好きだったことも意欲をかき立てられ、新見市への移住を決めました。
県・市の支援制度を活用し、同JA・新見統括本部が営む農場で、1年間の研修を受けました。ひと通りの作業を経験しながら栽培ノウハウを身に付け、わからないことはいつも気に掛けてくれる周りの農家に教わりました。研修で使った農地やハウス4棟の13アールのほ場は、そのままJAからリースを受けました。
春からの就農に向けて準備は万全のはずでした。しかし、4月中旬に雨交じりの雪が降り始め、ビニールハウスに重く襲いかかりました。ストーブを焚き、夜通し必死に雪を降ろしました。難を逃れたものの、作業の一つひとつに戦々恐々となり遅れをとりました。定植には部会の10人が駆け付け、「経済的な余裕も人脈もない中で本当にうれしくありがたかった」と振り返ります。
日々変化するトマトと向き合い、「人が生きる上で欠かせない食に携わる農業はシンプルによい生き方」と実感。天候や土によって条件が異なり肥培管理は難しいが、「10月中旬まで途切れなく出荷したい」と気を引き締めます。